旅好きなみなさん、こんにちは!
この記事は、今まさに海外にいて、突然予定していたフライトが遅延したり欠航(キャンセル)したりして困っている方に向けて、私の体験からおすすめするトラブルの具体的な対処法をご紹介する記事です!
これまで50か国以上を旅行してきた私は、遅延も欠航も何度も経験し、その度に悔し涙を流すと同時に、様々な対処法で乗り切ってきました。
日本にいて日本語で対応できたとしても、突然のトラブル対処はとても大変なのですが、海外となると言葉の壁もあってとても不安な思いをすると思います。
今日は、ヨーロッパエリアやヨーロッパの航空会社便にて飛行機のトラブルに見舞われてしまった際の対処法をできるだけ分かりやすくご紹介します。
既にトラブルの渦中にいらっしゃる場合は、目次からジャンプして具体的な対処法を参照ください。
EUの法律「EU261法」で保障されている乗客の権利
EU圏内にて飛行機がキャンセルになったり、遅延したり、オーバーブッキングされてしまった際には、実はEUの法律で、乗客は一定のサポートや補償を受ける権利があります。
これは、EU圏内の航空会社であれば、LCC(格安航空会社)にも適応されます。
法律なので細かい記載がありますが、ここでは分かりやすく説明したいと思います。
EU261法にて補償が適用されるフライトおよび乗客とは?
この法律が適用されるには、フライトや乗客に最低限の条件があり、以下をすべて満たしている必要があります。
- EU加盟国を出発またはEU加盟国の航空会社を利用して第三国を出発し、EU加盟国に到着する便の乗客(※乗客は当該第三国でいかなる補償または金銭的支援も受け取っていないこと)
- 当該フライトの予約が確定済みである
- 乗客が所定の時刻内に、搭乗手続き(チェックイン)に現れている
- 自ら志願して搭乗しないケースや、航空会社から金銭等の見返りをもらう前提で搭乗しない場合は対象外
上記の最大のポイントは、条件の一つ目です。
ざっくりいうと、到着国がEU加盟国でなければならないということです。
しかし、いくら到着国がEU加盟国でも、航空会社がEU加盟国の航空会社でない場合には対象にはなりません。
具体的には、最近中東系の航空会社(エミレーツ、エティハド、カタール、ターキッシュなど)がヨーロッパに沢山乗り入れていますが、例えばエミレーツ航空にてUAEとドイツ間を飛ぶ便の場合は、往復ともにこの法律の対象外となります。
上記の条件をかみ砕くと、基本的にEU加盟国の航空会社の便のみが対象となるということです。(EU圏外の航空会社がEU加盟国同士を結ぶ便を運航しているケースはほぼないため)また、日本との往復便に関しては、例えばルフトハンザ便で日本からフランクフルトに飛ぶ便は対象となりますが、逆のフランクフルトから日本への便は対象外となりますし、全日空(ANA)や日本航空(JAL)便は往復ともに対象外となります。
条件に適用するかの最も簡単な判断基準は、
ヨーロッパの航空会社+ヨーロッパ地域の到着便かどうか
ということです。
いかなる遅延、キャンセルも補償対象になるのか?
上記の条件に加え、あなたのフライトの遅延やキャンセルの理由によっては、補償対象外となる場合もあるため、同時に知っておくと良いと思います。
EU261法の補償対象外となる遅延、キャンセルの原因は、
- 悪天候
- 政情不安
- ストライキ
- 保安上の危険
- その他、予期せぬ飛行安全上の問題
と言われており、
つまり、「いかなる合理的な対処によっても防ぐことのできない、特別な事情による原因」と判断された場合には対象外となります。
補償されるトラブル内容とその金額は?
トラブルの種類により、若干規定が変わるため、一覧表でご紹介します。
遅延
遅延の場合は、飛行距離と遅延時間の組合せで補償可否および金額の基準が定められており、その場もしくは事後補償金の請求が可能です。
飛行距離 | 3,501km以上 | 1,501~3,500km以上およびEU内の便で1,501km以上 | 飛行距離 1,500km以下 |
遅延した時間 | 4時間以上 | 3時間以上 | 2時間以上 |
補償額 | 600ユーロ | 400ユーロ | 250ユーロ |
遅延した時間によって、補償金に含まれる可能性がありますが、宿泊先支給などのサポートを受けられる可能性もあります。
キャンセル
キャンセル(=欠航)の場合にも、上記「遅延」の場合の飛行距離に付随した補償金(宿泊などのサポート含む)および、代替便もしくは払い戻しを受けることができます。
ただし、出発の14日以上前に欠航が通知された場合には、いかなる場合にも補償の補償の対象外となります。
オーバーブッキング
オーバーブッキング(=超過予約)の場合にも、上記「遅延」の場合の飛行距離に付随した補償金(宿泊などのサポート含む)および、代替便もしくは払い戻しを受けることができます。
ただし、代替便が用意され、代替便による飛行の結果、上記遅延時間以内に目的地に到着した場合には、補償額は半額程度となる可能性があります。
各航空会社のHP等で詳細を確認
上記の条件や補償内容は、一般的なEU261法の解釈となり、一部航空会社によって個別の規定を設けていたり、個別対応を行っている場合があります。
トラブルに見舞われた場合には、上記の一般情報を基に、該当航空会社に問い合わせることをおすすめします。
いざトラブル発生!その対処法は?
さて、もし今、この瞬間に海外でフライトトラブルに巻きこまれているのであれば、まずは基本行動を採りましょう。
ここでは、当日空港にてトラブル(遅延、キャンセル、オーバーブッキング)が発生してしまった場合の対処法をご紹介します。
共通の対処
航空会社問わず、以下のような行動が賢明です。
現場スタッフの説明を聞いて、指示に従う
搭乗ゲートでトラブルが発生した場合は、ゲートのスタッフに、空港のセキュリティゲートに入る前にトラブルが発生した場合はチェックインカウンターのスタッフに駆け寄り、説明および指示を仰ぎましょう。
説明がない場合には、説明がなされるまで近くで待つ
この時に、現場スタッフから説明がない、または、とりあえずその場で待機してほしいと言われたら、決してその場を離れないようにしましょう。
他の乗客がしつこく詰め寄って、情報を入手出来た際には、近くにいればあなたもその情報を聞くことができ、即座に行動に出ることが可能になります。
代替フライトの有無を明確にする
遅延の場合はスタッフの指示を待つしかありませんが、キャンセルやオーバーブッキングの場合は、代替便の有無によって、取るべき行動が変わります。
また、遅延の末にキャンセルとなった場合も同様に、代替便の有無がその後のあなたの行動の大きなポイントなるため、代替便をいち早く用意してもらえるよう、スタッフに張り付きましょう。
代替便の手配は、いち早い行動を
例えば、搭乗ゲート付近であなたの便がキャンセルとなった場合には、そのほとんどが一度出発ロビーまで戻されて、専用カウンターにて代替便(当日もしくは翌日)の手配をしてもらうことになります。
これは、「早い者勝ち」です。
できるだけ早く、この専用カウンターに並び、より条件の良い代替便を手配してもらいましょう。
代替便選びは慎重に
この時に注意したいのが、代替便に妥協しないことです。
例えば、専用カウンターにて当日の代替便を勧められたとしても、それが別の地点での乗り継ぎが発生する経由便だったり、その乗り継ぎ時間が1時間を切っているような場合には、断って翌日の直行便にしてもらうなど、できるだけ確実にたどり着ける代替便を受け入れるのがベストです。
私は過去に、欲張って無理のある乗り継ぎの伴う代替便を受け入れたところ、その最初の便が遅延して経由地での乗り継ぎが間に合わず、その経由地で再び酷い目に遭いました・・・。このような場合、経由地ではまともに面倒を見てもらえません。
代替便が翌日以降の場合
代替便が翌日以降の場合は、どこかに宿泊する必要があるため、その場のカウンターでホテル等の相談をしましょう。
明確な指示や宿泊先の支給がない場合は、仕方がないので自分で手配することになります。その場合は、領収書をきちんと保管しておきましょう。
宿泊費用および空港往復の交通費は、事後に請求できる可能性が高いです。
預け入れ荷物が伴う乗り継ぎ便でトラブルに遭ったら
例えば、全てルフトハンザ便でフランス⇒ドイツ⇒デンマークという一連の航空券を持っていたとして、預け入れ荷物があったとします。
ドイツで乗り継ぎ待ちをしていたら、次のデンマーク行きのフライトがキャンセルになってしまい、代替便が翌日となる場合、預け入れた荷物はどうなるのか気になりますよね。
実は基本的には申し出れば、少し待つことにはなりますが、一度荷物をピックアップして手元に戻すことができます。
申し出なければ預けたまま、翌日の便に乗せられるはずなのですが、この場合、リスクがあることを知っておきましょう。
これは実際に私も経験しましたが、翌日の便には乗せられておらず、目的地にてロストバゲージ(預け入れ荷物の紛失)が起こりました。
預け入れ荷物を確実に目的地まで届けたいのであれば、手間ではありますが、一度ピックアップすることをお勧めします。
実体験から勧める!航空会社系列別の対処方法は?
上記の共通の対処法の他に、航空会社の種類によって、その特徴を把握することで、少しでも被害を抑えることができるかもしれません。
実際に私が経験したケースを踏まえ、対処法をご紹介したいと思います。
レガシーキャリア(LC)=フラッグシップキャリアや大手航空会社の場合
LC(レガシーキャリア)とは?
いわゆるLCC(格安航空会社)でない大手の航空会社をLC(レガシーキャリア)と呼んでいますが、ヨーロッパで言うと、以下のような航空会社が該当します。(代表的な会社を一部列挙)
ルフトハンザ、エールフランス、ブリティッシュ、スカンジナビア、フィンエアー、スイス、オーストリア、KLM、イベリア、TAPポルトガル、アリタリア、ポーランド、チェコ、タロムなど
LCでは代替便の支給が基本
これらの航空会社の便でトラブルに遭った時は、基本的には代替便の支給がなされます。
ただ、その応対やスピードは航空会社や現場によりまちまちで、LCでも近年は特にスタッフの説明不足や無責任な言動で呆れさせられることも多々あります。
キャンセルやオーバーブッキングの場合は、代替便があてがわれ、次の便の搭乗となることが基本ですので、それ以上の対応を求めるのはエネルギーの消耗になってしまうと思います。
宿泊先の確保
LCでのキャンセルやオーバーブッキングの場合、あなたのフライトが就航頻度が低い経路の場合には、次の便が3日後というようなケースもあると思います。
そのような場合は、それまでの宿泊先の手配などを受けられる可能性が高いため、自宅などの待機する場所がない方は、その場で確認・交渉することをお勧めします。
補償金の受け取り
LCでトラブルに遭った場合、その場で上記EU規定の補償金を受け取れるケースもあるため、もらえるものはもらっておくようにしましょう。
後に請求することも不可能ではありませんが、外国の航空会社の場合、トンずらされたりして回収できないこともあるため、その場で受けられる支援を最大限受けるため、粘り強く問い合わせしましょう。
ローコストキャリア(LCC)=格安航空会社の場合
LCでない格安航空会社LCCは列挙できないくらい多数ありますが、ヨーロッパ内で就航数が多く有名なのが、ライアンエアー、イージージェット、ウィズエアーなどです。
LCCは、残念ながらLCよりもトラブル発生時の対応力が低いです。
遅延の場合
LCCで遅延が発生した場合は、ひたすら待つのみです。
LCCはLCより頻繁に遅延が起こると言われていて、私自身そう感じます。
その理由は、LCCはもともと資金力がなく、十分な機体数を持ち合わせていないため、どこかのフライトでトラブル(天候理由の遅延や機械故障など)が発生すると、その機体を利用するはずのその後のフライトに直接影響が出てしまうためです。
そのため、どうにか運行可能な機体が確保できるまで、時には10時間近い遅延の末、飛ぶことができるというケースも少なくありません。
他方で、長時間の遅延の末、キャンセルとなってしまうケースもあり、実際に数時間も遅延の状態が続いていると、このまま待ち続けるか、それとも見切りをつけて自分で別のフライトを取り直すか、非常に悩むところです。(見切りをつけた場合には、自腹で別のチケットを購入します。当初のフライトのチェックインが済んでいる状態で遅延となっていて、搭乗しなかった場合には、事後補償金の請求は可能なため、見切りをつける場合でも必ずチェックインをしておきましょう。)
キャンセル、オーバーブッキングの場合
LCCにてフライトがキャンセルもしくはオーバーブッキングとなってしまった場合は、残念ながら基本対処法を行うだけでは、解決されないことが多々あります。
それは、LCとは異なり、代替便の提供ないことが多いためです。
基本的には航空券の払い戻しは可能なため、旅行や出張自体を取りやめれば済むことではありますが、どうしても目的地まで辿り着かねばならない場合には、急いで自分で別の便を取り直さねばなりません。
この場合は、もちろん自腹で取り直さねばならず、即座の行動が必要です。
払い戻しや代替便を利用した場合にも、補償金を請求することは可能なため、トライしてみても損はないと思います。
苦労の代償を、補償金として請求してみよう
遅延、キャンセル、オーバーブッキングどれにしても、何とか旅程は確保して、無事目的地まで辿り着くことができた後には、一連のトラブルに対する補償金が請求できるか、検討してみてください。
その場で航空会社から補償金を受け取った場合には請求は無効となりますが、そうでない場合には上記EU法に基づき補償金を受け取ることができる可能性が高いです。
その際には、Eチケット、搭乗券の半券などが必要になるため、大切に保管しておきましょう。
補償金の請求方法
まず試したいのが、メールや電話にて航空会社に問い合わせて直接請求する方法です。
ただ、私の経験ではLCでさえも、事後の問い合わせや請求に対してまともに取り合ってくれたケースは非常に少なく、数か月かかってやっと返事がきた際にも、根拠のない少額の補償金を提示されたこともあります。
言語の壁も有、直接航空会社に問い合わせるのは難しい、またはなかなか取り合ってもらえない場合には、若干の手数料がかかりますが、代行サービスを利用して請求する方法もあります。
Airhelpという弁護士で組織された飛行機トラブルの補償請求代行企業を使います。
こちらはトラブルの事後3年まで遡って請求可能なため、焦る必要はありません。
英語での対応になりますが、サイトもしくはアプリの申請画面に従って必要書類を添付して提出することだけなので、簡単です。
また、手数料は、Airhelpが請求に成功した時(=補償金が勝ち取れた時)のみ発生するため、申請には一切お金はかかりません。
私自身も数回利用していますが、具体的な請求方法はこちらの記事を参照ください。